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2024年02月02日

サキタリ洞の味


モクズガニ、カニ、カニ、カニ、すでに茹でてありました。

鍋にモクズガニとネギを投入、グツグツ煮込みます。

「サキタリ洞の味」と言われて、モクズガニが頭に浮かぶ人はいないと思う。松の内の1月7日、沖縄県立博物館・美術館主催の、澤浦亮平氏が講師を務めた体験実食学習「サキタリ洞の味」に参加した。           
 ワイルドな料理を想像していたが、そうではなかった。モクズガニの甲羅を外し、脚を取り、胴体を二つに割って鍋に入れ、水を加えIH ヒーターで加熱し、みそを足してモズクガニ汁が出来あがった。ネギを加えおいしくいただいた。
 サキタリ洞は南城市玉泉洞の道向かいにある。サキタリ洞近隣の集落の伝承によれば、旧暦9月頃、雨が降ると上流から多数のモクズガニが川を下っできたという。夜、村人たちはたいまつを片手に洞穴に集まるモクズガニを捕まえ、一晩で麻袋をモクズガニでいっぱいにする人もいたそうである。今は川の汚染でモクズガニは食用に適さないようで、今回料理したモクズガニは兵庫県産だった。
 実は、サキタリ洞の1.3〜3.5万年前の地層からは、大量のモクズガニのハサミ等が出土していたが、その理由は謎だつた。その後の研究で旧石器人が主に秋の間、捕まえたモクズガニをサキタリ洞で食べていたと考えられている。サキタリ洞を利用した旧石器人も、旬な秋のモクズガニの味を楽しんでいたようである。「サキタリ洞の味」はモクズガニの味だった。
 今はケイブカフェのサキタリ洞。秋といわず、訪ねてみませんか。

サキタリ洞に興味を持った方は、拙著「サキタリ洞とその隣人たち」をご一読頂けましたら幸いです。サキタリ洞からは世界最古の釣針が発見されています。

『最』最!サキタリ

ジュンク堂でお買い求め頂けます。新星出版  600円+税(チープで、ディープです。)


  


Posted by クワガタ at 04:55Comments(0)サキタリ洞

2022年08月06日

港川人はウチナンチュの祖先か


港川遺跡公園オープン、2022 年4 月

真直ぐ進むと

港川フィッシャー【石灰岩採石場の岩の割れ目(フィッシャー)から旧石器人骨(港川人)4体が発見されている】


本島中南部はアルカリ性土壌のため、骨の化石が残りやすく多くの旧石器人骨が出土しているが、1970年に発見された港川人骨のDNAの解析は、新しい技術や方法が確立されるまで待たなければならなかった。

2021年、東邦大学等の研究グループが大量のDNA配列を高速で決定できる装置を使って、港川人1号人骨のミトコンドリアDNAの解析に成功し、「港川人は現代日本人の直接の祖先ではない」と発表した。
港川人は子孫を残すことなく、絶滅したと考えられている。
ただし、港川人のミトコンドリアDNA解析による結論であることに注意が必要だという。

実は、絶滅したネアンデルタール人のDNAの一部が、交雑によりホモ・サピエンスに受け継がれていることがわかっている。このことは、ネアンデルタール人のミトコンドリアDNA解析ではなく、膨大な遺伝情報を持つ核DNAの解析で明らかにされた。日本人のDNAの中には、ネアンデルタール人のDNAが約2%含まれていることもわかった。
「港川人のDNAが現代ウチナンチュに受け継がれているか否か」についての最終的な結論は、港川人の核DNA解析を待たなければならない。

ところで、ネアンデルタール人のDNAがホモ・サピエンスに受け継がれていることを突き止めたスヴァンテ・ぺーボ教授が、今年4月に沖縄科学技術大学院大学に着任、港川人の共同研究にも関心を示していると配信されている。期待せずにはいられない。
     (琉球新報2022年8月4日投稿)

港川人に興味を持った方は、拙著「サキタリ洞とその隣人たち」をご一読頂けましたら幸いです。港川人の発見から絶滅説まで紹介しています。

『最』最!サキタリ

ジュンク堂でお買い求め頂けます。新星出版  600円+税(チープで、ディープ)






  


Posted by クワガタ at 21:05Comments(2)港川人

2021年11月11日

海とジュゴンと貝塚人


沖縄県立博物館・美術館 博物館企画展の「海とジュゴンと貝塚人」の図録、税込1760円 
【ミュージアムショップ「ゆいむい」】で好評発売中

「海とジュゴンと貝塚人」の展示解説会が 2021年11月11日、沖縄県立博物館
美術館で開催されました。(「海とジュゴンと貝塚人」は12月5日まで開催)

約7千年前の貝塚時代の沖縄では、食料の多くをイノシシが占めていましたが、約4千年前になると食料の半分を魚貝類が占めるようになりました。
その頃、貝塚人はジュゴンの骨から蝶形骨製品を作り始めたようです。
男性中心のイノシシ猟から女性や子供でも
できる魚貝類の採集が多く行なわれるようになり、余裕のできた男性が蝶形骨製品を作るようになったと考えられているようです。
ジュゴンは貝塚人に肉と芸術の素材をもたらしたのです。

サキタリ洞から出土した「日本最古の着色されたビーズ(ニシキノガイ)約2万3千年前」も展示されています。
是非、実物をご覧ください。

サキタリ洞(南城市、玉泉洞の道向い)から教科書に載るような発見が相次いでいま
す。

国内最古の「石器と人骨のセット」出土 2011年                              

世界最古の「釣り針」出土  2012年

国内最古の「貝器」出土   2014年

国内最古の「埋葬人骨」出土 2014年

国内最古の「赤い顔料で着色されたビーズ」確認 2021年

サキタリ洞への関心が再び高まっています。興味のある方は、ぜひ「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」をご一読ください。

最後までお読みの方は、もれなく、「日本最古の顔」にご対面いただけます。 

 『最』最!サキタリ

ジュンク堂(2階沖縄関係書)、球陽堂など有名書店、沖縄県立博物館・美術館【ミュージアムショップ「ゆいむい」】で好評発売中!ネットでもお買い求めいただけます。
⬆クリックしてください。
新星出版 600円+税(チープで、ディープです。)


  



2021年10月31日

日本初の国立自然史博物館を沖縄に!


「日本初の国立自然史博物館を沖縄に!」をスローガンに、特別公演会「進化から自然史を語る」が2021年 10月31日、沖縄県立博物館・美術館で開催されました。

アジアには先進諸国水準の国立自然史博物館がまだなく、沖縄にできればいい事尽くめだそうです。
設立に向けて沖縄県内の気運を高めようではありませんか。
自然史博物館設立サポーター会員募集中。

特別公演では、長谷川眞理子先生が博物学における女性研究者の活躍を熱く語っていました。「男性研究者のピークは三十代頃、女性研究者のピークはその後もある程度続く、だから○○歳の私も・・・・・・・・・」

深津武馬先生の共生の話しへの質問が多くありました。共生と言っても片利的であったり、昆虫と細菌の共生には驚かされました。(共生についてもっと知りたくなりました)

沖縄に国立自然史博物館が設立され、サキタリ洞遺跡関連資料も展示されることを期待しています。

サキタリ洞(南城市、玉泉洞の道向い)から教科書に載るような発見が相次いでいま
す。

国内最古の「石器と人骨のセット」出土 2011年                              

世界最古の「釣り針」出土  2012年

国内最古の「貝器」出土   2014年

国内最古の「埋葬人骨」出土 2014年

国内最古の「赤い顔料で着色されたビーズ」確認 2021年

サキタリ洞に関心のある方は、ぜひ「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」をご一読ください。

最後までお読みの方は、もれなく、「日本最古の顔」にご対面いただけます。 

 『最』最!サキタリ

ジュンク堂(1、2階)、球陽堂など有名書店、沖縄県立博物館・美術館【ミュージアムショップ「ゆいむい」】で好評発売中!ネットでもお買い求めいただけます。
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Posted by クワガタ at 22:27Comments(0)沖縄県立博物館・美術館

2021年09月20日

みんなの進化展ー命はつながっているー


 
沖縄県立博物館・美術館主催の「みんなの進化展ー命はつながっているー」の図録、ジュンク堂那覇店3階で販売中、税込1540円 
※現在、沖縄県立博物館・美術館【ミュージアムショップ「ゆいむい」】で好評発売中

「ダーウィンの進化論」が「みんなの進化論」に感じられる図録です。
命をつないでいくには個性も大切だということも伝わってきます。今起きている身近な生物の進化にも驚かされます。

庭先でも見かけるシロオビアゲハの雌が、毒蝶に現在進行形で擬態していることを琉球大学の研究者が明らかにしています。
世界的に注目されているそうです。

右巻きのカタツムリを専門に捕食する(左巻きのカタツムリの捕食に失敗する)右利きのイワサキセダカヘビ(八重山諸島)も紹介されています。
その様子は沖縄県立博物館・美術館のホームページの映像で確かめてみてください。



ジュンク堂那覇店1階、第3回おきなわ本フェア開催中です。
沖縄の歴史、文化、自然に興味のある方は
ぜひお立ち寄りください。
聞いた事はあるけれど、よく知らない沖縄の事を調べてみたいと思っている方ものぞいてみてください。
意外な発見にちょと得した気分になれます。

教科書に載るような発見の相次ぐサキタリ洞(南城市、玉泉洞の道向い)のこと、どのぐらいご存知ですか。

国内最古の「石器と人骨のセット」出土     2011年

世界最古の「釣り針」出土 2012年

国内最古の「貝器」出土 2014年

国内最古の「埋葬人骨」出土 2014年

2018年「サキタリ洞とその隣人たちー
港川人はサキタリ洞に来たのかー」を出版しました。

サキタリ洞に関心のある方は、ぜひご一読ください。

最後までお読みの方は、もれなく、「日本最古の顔」にご対面いただけます。 

 『最』最!サキタリ

ジュンク堂(1、2階)、球陽堂など有名書店、沖縄県立博物館・美術館【ミュージアムショップ「ゆいむい」】で好評発売中!ネットでもお買い求めいただけます。
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2021年07月11日

島だからこその着想


「奇跡の島々の先史学―琉球列島先史・原史時代の島嶼文明―」(高宮広土著)


 港川人や琉球王国が「世界的に大変稀な文化現象」と言われてもピンとこないと思います。
「奇跡の島々の先史学―琉球列島先史・原史時代の島嶼文明―」(高宮広土著)によれば、「琉球列島のように旧石器時代にヒトがいた島」、「狩猟採集の社会から王国が成立した島」は、世界的に珍しいというのです。
 琉球列島のように多数の旧石器人骨が出土している島はないようですが、島だから海上交易により琉球王国は誕生したとも考えられます。
 琉球列島の「世界的に大変稀な文化現象」は、前述の二つの外にSDGsを連想させる「自然と調和していたかも知れない島」など四つ紹介されています。詳しくは本著をお読みください。
 島の遺跡に光をあて構築された琉球列島史に、著者が語る「島嶼文明」を発見するかもしれない一冊です。
 ところで、「港川人の遺伝情報を調べることに初めて成功」のニュースが飛び込んで来ました。今後の研究の進展に関心が高まりそうです。

追伸
 東邦大学などの研究チームによる古人骨のミトコンドリアDNAの分析で、旧石器時代の沖縄にいた港川人が、現代日本人の直接の祖先でないことがわかった。と新聞報道されました。
 実は、港川人絶滅説(港川人は現代日本人には繋がらなかった)は1996年には高宮広人が提唱していました。
 詳しくは、拙著「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」をお読み頂けましたら幸いに存じます。

 『最』最!サキタリ

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Posted by クワガタ at 17:02Comments(0)本の紹介

2019年09月14日

南の島のよくカニ食う旧石器人


 「南の島のよくカニ食う旧石器人」 藤田 祐樹 岩波書店 1300円+税  

洞窟調査のため、生命保険に加入し、身動きのとれない岩の隙間に体をねじ込み、水の流れる洞窟を口だけ出して進んだり、ロープにぶら下がって60mも地下に降ろされる羽目になりながらの沖縄での9年間を、著者のユーモラスな語り口から想像するには無理がある。

空気の動かぬ洞内で自分から出る熱気が体にまとわりつき、したたる汗も乾くことなく、次第に暑さと息苦しさを覚えてくる。それでも、化石が見つかる楽しさに夢中になって調査を続けた著者の姿が目に浮かぶと言いたいところだが、一般の読者には無理がある。

しかし、ユーモアあふれる本著を読まずにいるのにも無理がある。

人類学・考古学に関心がない方々も、無理を承知で読んでほしい本だ。

本の内容に入ろう。
南の島のよくカニ食う旧石器人とは、沖縄のサキタリ洞で3万5千年前から1万3千年前ごろまで、秋にはモクズガニを食べながら生き続けた人々のことである。

沖縄県立博物館・美術館人類学担当学芸員の著者らによる、サキタリ洞での発掘調査の成果を中心に紹介されている。今では、サキタリ洞が考古学・人類学のホットスポットの一つであると言われるようになったのも、著者らによって教科書に載るような発見が相次いだことによるものである。

国内最古の「石器と人骨のセット」出土2011年、世界最古の「釣り針」出土2012年、国内最古の「貝器」出土2014年、国内最古の「埋葬人骨」出土2014年などがそれである。

著者に言わせると「旧石器人とその生活痕跡を探すなら、沖縄の洞窟へめんそーれ」なのだ。

関連本として「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」(2018、新星出版)を紹介しておく、「南の島のよくカニ食う旧石器人」 の読後、無理なく読めるはずだ。 

 『最』最!サキタリ

ジュンク堂(2階沖縄関係書)、球陽堂など有名書店、沖縄県立博物館・美術館【ミュージアムショップ「ゆいむい」】で好評発売中!ネットでもお買い求めいただけます。
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新星出版 600円+税(チープで、ディープです。)



  


Posted by クワガタ at 16:36Comments(0)本の紹介

2019年08月11日

『最古』最高!サキタリ洞


教科書に載るような発見の相次ぐサキタリ洞(南城市、玉泉洞の道向い)のこと、どのぐらいご存知ですか。

国内最古の「石器と人骨のセット」出土     2011年

世界最古の「釣り針」出土 2012年

国内最古の「貝器」出土 2014年

国内最古の「埋葬人骨」出土 2014年

「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」出版  2018年

国内最古の「赤い顔料で着色されたビーズ」を確認         2021年

サキタリ洞に関心のある方は、ご一読ください。

最後までお読みの方は、もれなく、「日本最古の顔」にご対面いただけます。 

 『最』最!サキタリ

ジュンク堂(2階沖縄関係書)、球陽堂など有名書店、沖縄県立博物館・美術館【ミュージアムショップ「ゆいむい」】で好評発売中! ネットでもお買い求めいただけます。
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Posted by クワガタ at 20:33Comments(0)本の紹介

2019年08月10日

甦るクジャクの尾羽―地域によってクジャクの雌の好みは異なる―



クジャクというと雌の前で雄が羽を広げて、求愛する姿が頭に浮かぶと思う。1991年のイギリスの研究者の報告から、雌は綺麗な尾羽の雄(目玉模様の多い雄)を選んでいるのではと考えられてきた。

しかし、2004年に日本の研究者が、約10年に及ぶ観察結果からクジャクの雌は雄の尾羽ではなく鳴き声で雄を選んでいると発表した。それ以降「クジャクの尾羽」はその座を追われたと思っていた。去った6月に沖縄県立博物館文化講座の講演「虫のはなし」(岡山大学教授:宮竹貴久)を聴くまでは。

同講演会によると最近の研究では、同じクジャクでも地域によって雌の好みは異なり、雄の尾羽や鳴き声によって雄を選ぶと考えられているという。

日本での観察ではクジャクの雌は雄の鳴き声で、イギリスの観察ではクジャクの雌は雄の尾羽で選択しているようだ。
クジャクの雌の好みにも地域によって流行があるらしい。

野生化した宮古島のクジャクは駆除対象の害鳥となっているが、雌の好みを調べるとその性質を利用した、効率的な駆除方法が見つかるかも知れない。
(沖縄タイムス2019.8.6(火)掲載、一部改稿)

なお、「インドクジャクに見られる体の羽の色の性差は、(主にオスが派手に変化したのではなく)主にメスが地味に変化したことによって生じただろう。」と考えられています。(高橋麻理子、「クジャク属と近縁種における求愛ディスプレイ形質の系統再構築と性差の進化の解明」)
詳しくは、長谷川眞理子、「クジャクの雄はなぜ美しい?」増補改訂版2005、p222~224をお読みください。

  


Posted by クワガタ at 14:44Comments(0)進化生物学

2019年08月03日

シロオビアゲハに乗ってダ―ウィンを越えろ


毒をもつベニモンアゲハに擬態したシロオビアゲハの雌

蝶は、なぜ雌だけが擬態するのか。しかも、全ての雌ではなく一部の雌だけが擬態するのか。25年程前までは、雌蝶だけが毒蝶に擬態する理由は、ダ―ウィンが唱えた「雌による性選択」(擬態雄は雌に好まれない)で説明されていた。

現在では「卵を持つ雌蝶は、鳥からの捕食圧が雄蝶より高いため、擬態にコストがかかっても、毒蝶に擬態する」と考えられている。
それでも、「なぜ一部の雌蝶だけしか擬態しないのか」の謎が残っていた。

今年2019年、この謎を琉大研究チームがシロオビアゲハを用いて解明した。古くからの仮説「擬態蝶が毒蝶に比べて増えすぎると擬態の効果が失われる(鳥が擬態蝶を襲う)ため、集団中に擬態できる蝶の割合(擬態率)に上限がある」を実証したのだ。

だが、ダ―ウィンが提唱した、「擬態した雌蝶は雄蝶に好まれないから擬態しない」とする「雄による性選択」は否定していないという。


詳しく知りたい方は、琉球大学HP「シロオビアゲハが毒蝶を真似するときの条件 ~擬態の進化学的パラドクスを解明~」をお読みください。
  


Posted by クワガタ at 16:00Comments(0)進化生物学

2019年07月20日

3万年前の再現航海


 沖縄県・与那国島の港に到着した国立科学博物館チームの丸木舟=9日午前(同博物館提供)

3年前の夏、国立科学博物館チームが行った、草(ヒメガマ)船による与那国―西表島の航海実験では、海流に恵まれず西表島に到達できなかった。
今回、同チームが竹筏船による航海実験を経て、台湾―与那国間の航海実験に丸木船で挑んだ。石斧を使い、杉の大木を倒し、くりぬいて作った丸木舟(長さ約7.5m、幅約70cm)は、草船や竹筏船より不安定だが、速度が出るという。
幅100メートル、秒速1~2メートルの黒潮横断が難関と考えられていたが、黒潮が船を運んでくれたらしい。

 5人(男4人・女1人)の漕ぎ手は、45時間、200キロに及ぶ航海の末、与那国に到着した。
 太陽や星の位置から進む方角を決めたという。与那国の島影を見つけた時の喜びは彼らでなければわからない。
 3万年前の人類はすでに、丸木舟を作る技、黒潮を利用する航海術を身につけていたことが実証されたと言えるだろう。
 アフリカで誕生した人類が、黒潮を越えて、沖縄に着いた日の再現となった。(2019.7.18(木) 琉球新報掲載)

 なお、水・食料を伴走船から補給しなければ航海が続けられなかったらしい。新たな解決すべき課題が加わった。
  


2019年06月16日

最後の挑戦




選んだのは丸木舟
候補となる草・竹・木の全ての舟を試作して海上実験を繰り返した結果、3万年前の航海に使われたのは、丸木舟であった可能性が有力になっています。これまで私たちが草でも竹でも越えられなかった黒潮の海を、今回は越えることができるでしょうか?

本番の実験航海

私たちは、日本列島への入口の1つである、台湾→与那国島の航路に挑戦することにしました。そこは、世界最大規模の巨大海流である黒潮が流れ、航海の終盤に入るまで目標の島が見えないという難関です。海流の影響を考えて南方から出発するため、航行距離は200 km以上となり、到着まで少なくとも2日かかるでしょう。漕ぎ手たちは、この間ゆっくり休むことを許されません。

出航日を決められない

原始的な舟で安全に島にたどりつくためには、穏やかな日を待って出航しなければなりません。そこで私たちは、6月25日から7月13日までの19日間を「本番の期間」とし、この間で出航のチャンスを待つことにします。7月13日には実験を終えていなければならないため、出航日はそれより数日前になります。

3万年前の挑戦を理解するためのルール
•地図、コンパス、スマホ、時計などは持たない。
•伴走船は方角を指示しない。
•食料や飲料水は必要量を積んでいく。
•漕ぎ手(男女を含む5名)は途中交替しない。
               
追 伸 

教科書に載るような発見の相次ぐサキタリ洞(南城市、玉泉洞の道向い)のこと、どのぐらいご存知ですか。

国内最古の「石器と人骨のセット」出土     2011年

世界最古の「釣り針」出土 2012年

国内最古の「貝器」出土 2014年

国内最古の「埋葬人骨」出土 2014年

2018年ハイサイ人類学が、本「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」になりました。
(最後の挑戦」については、あとがきで触れています。)

サキタリ洞に関心のある方は、ぜひお読みください。

最後までお読みの方は、もれなく、「日本最古の顔」にご対面いただけます。 

 『最』最!サキタリ

ジュンク堂(2階沖縄関係書)、球陽堂など有名書店、沖縄県立博物館・美術館【ミュージアムショップ「ゆいむい」】で好評発売中! ネットでもお買い求めいただけます。
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2019年03月10日

中城御殿現地説明会

雨のちらつく中、中城御殿現地説明会に参加した。沖縄県立埋蔵文化財センターの担当者から新知見に富む説明があった。(平成31年3月9日(土)
【説明会配布資料】
1今回の調査で、確認された道跡は「首里古地図」に描かれた道である。
2外壁から中城御殿の東の端が確認できた。これにより詳細の屋敷範囲、周辺遺跡との位置関係を推定できた。
3道幅や排水溝の設置状況、道の路面材料がわかった。

道には勾配があり、雨水が溝に流れるようになっている。
道跡と溝の間のくぼみは、工事によるものという。


興味深い石積が見つかっている。サンゴ石灰岩が形と大きさを変えて積まれている。
その石積一面がそうなっており、装飾の可能性があるらしい。

  


Posted by クワガタ at 19:56Comments(0)中城御殿

2019年02月10日

14世紀前半の城壁現る!中城城

中城城のボランティア文化財ガイドの皆さん(おそらく)と一緒に、中城村教育委員会の渡久地さんから話が聞けました2019.2.2(土)。

中城城の築城は、14世紀後半とされていたが、14世紀前半に遡ることになる。
今回発見された14世紀の城壁は、中城村役場が、近代(19世紀)に石工を集めて建てた城壁に覆われるようにして見つかった(中城村役場は沖縄戦で焼失)。今回の城壁修復作業がなかったら、発見されなかっただろう。
発見された14世紀の城壁の基盤のすぐ上の黒い層から、13世紀末~14世紀前半の中国製磁器が出土した。このことから、新発見の城壁は、14世紀前期~中期のものであると判断した。専門家も注目している。

なお、15世紀前半頃の城壁の石材(琉球石灰岩)の表面に小さい穴がみられるのは、地表の石灰岩が使われたからであり、急こしらえだったかもしれない。

【奥から、15世紀前半頃の城壁(布積み)、今回発見された14世紀前半頃の城壁(布積み)、近代の城壁(きちんと積まれた野面積み、仮称:乱積み)、15世紀前半頃の基壇構築の石積(布積み)】(中城村教育委員会による現場掲示写真)
石積は、野面積み→布積み→相方積みと時代を経て発達しているが、ここでは近代の城壁が野面積みなのが面白い。


【近代の城壁に長く覆われていたため、白く新しく見える。上段程、石が小さくなっている。】

【黒い層(黒い層は、生活層であることが多い)から、13世紀末~14世紀前半の中国製磁器が出土】

【出土した13世紀末~14世紀前半の中国製磁器】(中城村教育委員会による現場掲示写真)
  


Posted by クワガタ at 13:21Comments(0)中城城・護佐丸

2019年01月26日

伊波貝塚で思わぬ発見-沖縄の先史遺跡をたどる

遺跡見学ツアー「沖縄の先史遺跡をたどる」(2020年1月19日(土)沖縄県立博物館・美術館主催)

北谷町教育委員会の山城安生さんから、北谷町文化財展示室において参加者を2グループにわけて、展示説明があった。

【平安山原(はんざんばる)B遺跡から出土した亀ケ岡式土器の破片】

平安山原(はんざんばる)B遺跡から出土している亀ケ岡式土器は、中部・北陸地方の人が西日本の土を用いて同地で作成したらしい。この土器が北谷町から出土したことにより、これまで奄美地方が南限とされていた亀ケ岡文化が、2000キロ以上離れた沖縄島まで影響していることが分かっている。
2010に国指定史跡に指定されている北谷町の伊礼原遺跡は、うーちぬかーの湧き水で縄文時代からグスク時代までの約7000年間の人々の生活跡がみられる貴重な地域であり、遺跡近くに町立博物館が建設予定されている。
バスで北谷町を巡りながら、北谷町が町村別で全国1位(地域元気指数調査2018)に輝いたことも分かるような気がした。

うるま市教育委員会の横尾昌樹さんから、仲原遺跡と伊波貝塚において解説があった。
仲原遺跡の竪穴住居の復元では、屋根は伊計島自生のチガヤを使い、アダンの根を材料にした縄でしばってある。
住居の骨組みは、ナットで止めている。(台風対策でしょうか)
県博の山崎さんからは、東北地方の竪穴式住居の屋根は保温のため土がかぶされていることを教えてもらった。



    【復元された竪穴住居】

 【復元された竪穴住居の内部の様子】 ハブを恐れ、誰も中には入らなかった。

伊波貝塚は、金武湾を見渡せる伊波丘陵にあるが、民家の畑の中を通らないと行けない。
参加者40人は、一列になって畑と畑の間のブロックの上を進み、年配者には気になる段差をクリヤし、伊波貝塚に到着。
そこだけ開けて、足元には貝殻が地面中散乱していた。
ここは、もとは海なのか?と思わずもらしたご婦人もいた。ここは貝塚ですとばかりに、県博の山崎さんは、そこらから拾ってきた貝製品を披露していた。私も探したが見つからなかった。
伊波貝塚周辺では、まだ住居跡は見つかっていないそうだ。この日のために、草刈りをしてくださった、関係者の皆様に感謝してツアー報告は終わる。


    【伊波貝塚が見えてきた】

    【草が刈られた伊波貝塚】

    【貝殻に覆われた地面】

県博の山崎さんが拾った貝製品、沖縄県立博物館・美術館に展示されている下の写真の貝製品とそっくり。もちろん置いてきました。

考古学の巨人と言われるがルイス・ビンフォードが、伊波貝塚から見つけ、沖縄県立博物館・美術館に展示されている貝製品

追 伸
サキタリ洞(南城市、玉泉洞の道向い)から教科書に載るような発見が相次いでいま
す。

国内最古の「石器と人骨のセット」出土 2011年                              

世界最古の「釣り針」出土  2012年

国内最古の「貝器」出土   2014年

国内最古の「埋葬人骨」出土 2014年

国内最古の「赤い顔料で着色されたビーズ」確認 2021年

サキタリ洞への関心が再び高まっています。興味のある方は、ぜひ「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」をご一読ください。

最後までお読みの方は、もれなく、「日本最古の顔」にご対面いただけます。 

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2018年12月16日

沖縄と縄文文化 

 第498回沖縄県立博物館・美術館 博物館文化講座 「沖縄と縄文文化」(講師;今村啓爾 氏(帝京大学教授)が、2018年12月15日(土)開催された。 

【挨拶する金城 健副館長(自称サンフラン瀬底出身(笑)】

 岡本太郎張りの芸術的情熱を縄文人たちは、爆発させていたと思っていた。
 それは、マチガイだった。
 火炎型土器は、炎を思わせる四つの把手、ハート型の窓のワンパターンが見られるらしい。言われてみれば、そうとも見れる。
 平等な社会だったといわれる縄文時代、同じ火炎式土器を爆発でなく、共有していたようだ。



「縄文中期でも新潟県の火炎型土器と呼ばれたものは、その代表とみなされ、当時の人たちが芸術的情熱に任せて自由奔放に作っていたように見えるが、火炎型土器の作品を並べてみるとワンパターンで、みんな同じ形を作っていたことを知り、かえって驚く。」(第498回沖縄県立博物館・美術館 博物館文化講座 沖縄と縄文文化の配布資料)

沖縄産の縄文時代の土器には、縄文は見られないが、立派な縄文文化の土器(縄文土器)である。

「昨年北谷の平安山原(はんざんばる)遺跡で大洞式土器(破片)が出土していることがわかり話題になった。大洞式は縄文時代末期、今から2500年ほど前の東北地方の土器、工芸的にも精緻な土器である。」(同上の資料)

【昨年北谷の平安山原(はんざんばる)遺跡で、破片が見つかった大洞式土器】

パフォーマンス 土偶マイム が同日開催。

【遮光器土偶になりきる白鳥兄弟】
土偶になる前のストレッチがきつそうだった。
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Posted by クワガタ at 15:10Comments(0)沖縄県立博物館・美術館土器

2018年10月06日

甦った国内最古の顔


沖縄県立埋蔵文化財センターにおいて、企画展「甦った国内最古の顔」が、こじんまりと10月14日まで開催されている。

石垣島白保竿根田原遺跡で発見された、この2万7千年前の顔の持ち主は、「今も沖
縄にいそう」といわれますが、残念ながら現在の石垣島の住民にはつながらなかった。
詳しくは、「サキタリ洞とその隣人たち」をご一読いただきたい。


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最後に一句 読まずとも 買って帰るは 友の本
人気ブログランキいtングへ多くの人に見ていただきたいので応援クリックをお願いします。



  


Posted by クワガタ at 18:25Comments(0)白保竿根田原洞穴人本の紹介

2018年09月24日

「沖縄県立博物館・美術館」が一番多く登場する本


沖縄県立博物館・美術館【ミュージアムショップ「ゆいむい」】

拙著「サキタリ洞とその隣人たち」の本文90頁中、30回(3ページあたり1回)
「沖縄県立博物館・美術館」が登場します。

この拙著は、沖縄県立博物館・美術館が、2007年におもろまちに移転してからの約9年間の発掘調査見学会や文化講座等に参加した著者による記録です。

発掘調査見学会では、「あいつ、また来ている」と言われていたような気がします。(笑)
その間、著者のブログ「ハイサイ人類学」に、藤田祐樹学芸員(現在国立科学博物館)には何度となく、勝手に応援ということで登場していただきました。
多少(いや結構)、迷惑だったかもしれません(ごめんなさい)。

拙著は、このブログの内容に加筆したものです。
沖縄県立博物館友の会の皆様が、多数参加したであろう発掘調査見学会の様子も書き記しました。展示解説で使える小ネタもあります。

友の会の皆様並びにボランティアの皆様もミュージアムショップ「ゆいむい」でお買
い求めいただければ望外の幸せです。

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Posted by クワガタ at 21:24Comments(0)本の紹介

2018年09月03日

国立科学博物館「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」完結編


“最初の日本人”は、3万年以上前に、大陸から海を越えてきた「航海者」だったことを知っていましたか?

祖先たちの「海への挑戦」を、一流研究者と探検家が、大勢を巻き込んで解明し再現する壮大なプロジェクトが、支援募集しています。

古代舟で実質200Kmを漕ぎ、台湾から与那国島を目指す「本番の実験航海」を来夏に実現するため、9月14日(金)23:00までにあと870万円。是非ご支援を!「クルー会員」になると歴史的挑戦を“密着フォロー”できます。

応援をお願いします!
http://krs.bz/kahaku/c?c=36&m=961&v=109f555f  


Posted by クワガタ at 15:53Comments(0)

2018年08月27日

「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」



「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」川上和人著 新潮文庫670円(税別)

沖縄県立博物館・美術館で開催中の、ティラノサウルス展の入場者が6万人を超えたそうだ。
ミュージアムショップも賑わっていた。
たくさんの恐竜本がところ狭しと並んでいる。だが、なにかが足りない。
「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」が見当たらないのだ。 

考えられる理由は三つある。
①某恐竜学者が画策した(笑い)
②大人(主催者)の事情
③恐竜展にふさわしくない(タイトルからであろう誤解)
①と②の理由には、物言う立場にないが、③なら、その誤解を解かねばならない。
この本ほど、恐竜愛に満ちた著書は、他に類をみない。恐竜型哺乳類(著者)特有の「妄想という名の、説得力ある推測」で話を展開し、読者を一飲みにしてくれる。(一飲みにされる感覚は中毒にはなるが)
これ以上のことは申しませんが。わかるよねーーー。

ティラノサウルス展 進化の謎に迫る  
入場者6万人突破! 9.9まで 沖縄県立博物館・美術館 






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Posted by クワガタ at 06:56Comments(0)本の紹介