やはり、港川人はウチナンチュの祖先ではない!?

クワガタ

2014年09月27日 07:35



琉球大学大学院医学研究科の佐藤丈寛博士研究員と木村亮介准教授らを中心とする共同研究グループは琉球列島の人々の遺伝情報を広範に分析した結果、台湾や大陸の集団とは直接の遺伝的つながりはなく、日本本土に由来すると発表した。

また、宮古・八重山諸島の人々の祖先がいつごろ沖縄諸島から移住したのか検証したところ、数百年から数千年と推定され、最大でも1万年以上さかのぼることはないとの結果が出た。

宮古・八重山ではピンザアブ洞穴人(2万6千年前)や白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴人(2万年前)の人骨が発見されており、現在の人々の祖先なのか関心
を呼んできたが、主要な祖先ではないことを示している。

一方、港川人(1万8千年前)については、沖縄本島地方の人々の主要な祖先では
ない可能性が高いとみられるものの、さらなる精査が必要という。(沖縄タイムス平成26年9月17日抜粋)

メールで木村亮介准教授に、発表内容について質問したところ返事(私信)を頂いたので紹介する。(新聞を読んで、疑問に思った方への回答にもなっていると思う。)

『科学論文では想像をなるべく排除して結果から言えることだけを言うので、想定されるストーリーを必ずしも明言しないようにしています。ですので、すこしわかり
づらいところがあるかもしれません。

想像される全体的なストーリーは以下の通りです。

現在の琉球列島の人々は、台湾先住民や大陸からの影響がほとんど見られず、ほとん
どが日本本土に由来すると考えられます。

おそらく、縄文時代に移住した人々と歴史時代(グスク時代以降)に移住した人々がいると思うのですが、その割合はまだわかりません。

「琉球人と漢族の分岐」が、それが今回の研究で1 万5 千年前よりも新しいと推定され
たということは、現在の琉球人は大陸から日本本土を経由してそれ以降に移住してき
たことになります(貝塚時代の始まりが1万年~6千年前と考えられていますので、そ
の頃かもしれません)。だとすれば、港川人は1万8千年前と推定されますので、現在
の琉球列島人の主要な祖先ではないことを意味します。

港川人の遺伝的影響があったことを完全に否定するものではなく、ただ主要な祖先で
はないだろうということです。

また、今回の年代推定方法にも、まだ検討の余地が残されているので、「遺伝的な繋
がりは薄い可能性が高い」という言い回しになっています。

現在の先島諸島の人々は、沖縄本島からもっと最近(数百~数千年前)に移住した人
が祖先と考えられるので、白保竿根田原人やピンザアブ人との関係は強く否定するこ
とができます。』

追 伸 

教科書に載るような発見の相次ぐサキタリ洞(南城市、玉泉洞の道向い)のこと、どのぐらいご存知ですか。

国内最古の「石器と人骨のセット」出土     2011年

世界最古の「釣り針」出土 2012年

国内最古の「貝器」出土 2014年

国内最古の「埋葬人骨」出土 2014年

2018年ハイサイ人類学が、本「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」になりました。
(「やはり、港川人はウチナンチュの祖先ではない!?」は、p57に収録しています。)

サキタリ洞に関心のある方は、ぜひお読みください。

最後までお読みの方は、もれなく、「日本最古の顔」にご対面いただけます。 

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