3万年前の再現航海
沖縄県・与那国島の港に到着した国立科学博物館チームの丸木舟=9日午前(同博物館提供)
3年前の夏、国立科学博物館チームが行った、草(ヒメガマ)船による与那国―西表島の航海実験では、海流に恵まれず西表島に到達できなかった。
今回、同チームが竹筏船による航海実験を経て、台湾―与那国間の航海実験に丸木船で挑んだ。石斧を使い、杉の大木を倒し、くりぬいて作った丸木舟(長さ約7.5m、幅約70cm)は、草船や竹筏船より不安定だが、速度が出るという。
幅100メートル、秒速1~2メートルの黒潮横断が難関と考えられていたが、黒潮が船を運んでくれたらしい。
5人(男4人・女1人)の漕ぎ手は、45時間、200キロに及ぶ航海の末、与那国に到着した。
太陽や星の位置から進む方角を決めたという。与那国の島影を見つけた時の喜びは彼らでなければわからない。
3万年前の人類はすでに、丸木舟を作る技、黒潮を利用する航海術を身につけていたことが実証されたと言えるだろう。
アフリカで誕生した人類が、黒潮を越えて、沖縄に着いた日の再現となった。(2019.7.18(木) 琉球新報掲載)
なお、水・食料を伴走船から補給しなければ航海が続けられなかったらしい。新たな解決すべき課題が加わった。
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