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2019年08月10日

甦るクジャクの尾羽―地域によってクジャクの雌の好みは異なる―

甦るクジャクの尾羽―地域によってクジャクの雌の好みは異なる―


クジャクというと雌の前で雄が羽を広げて、求愛する姿が頭に浮かぶと思う。1991年のイギリスの研究者の報告から、雌は綺麗な尾羽の雄(目玉模様の多い雄)を選んでいるのではと考えられてきた。

しかし、2004年に日本の研究者が、約10年に及ぶ観察結果からクジャクの雌は雄の尾羽ではなく鳴き声で雄を選んでいると発表した。それ以降「クジャクの尾羽」はその座を追われたと思っていた。去った6月に沖縄県立博物館文化講座の講演「虫のはなし」(岡山大学教授:宮竹貴久)を聴くまでは。

同講演会によると最近の研究では、同じクジャクでも地域によって雌の好みは異なり、雄の尾羽や鳴き声によって雄を選ぶと考えられているという。

日本での観察ではクジャクの雌は雄の鳴き声で、イギリスの観察ではクジャクの雌は雄の尾羽で選択しているようだ。
クジャクの雌の好みにも地域によって流行があるらしい。

野生化した宮古島のクジャクは駆除対象の害鳥となっているが、雌の好みを調べるとその性質を利用した、効率的な駆除方法が見つかるかも知れない。
(沖縄タイムス2019.8.6(火)掲載、一部改稿)

なお、「インドクジャクに見られる体の羽の色の性差は、(主にオスが派手に変化したのではなく)主にメスが地味に変化したことによって生じただろう。」と考えられています。(高橋麻理子、「クジャク属と近縁種における求愛ディスプレイ形質の系統再構築と性差の進化の解明」)
詳しくは、長谷川眞理子、「クジャクの雄はなぜ美しい?」増補改訂版2005、p222~224をお読みください。




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Posted by クワガタ at 14:44│Comments(0)進化生物学
 
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