2010年10月09日
港川人の顔が変わった 2
フロア公演中の沖縄県立博物館・美術館の専門員藤田祐樹さん(平成22年9月19日(日)
(左:コンピューター上での修正前の港川人の顔、右:修正後の港川人の顔 顎がほっそり)
左:沖縄県立博物館・美術館所蔵の港川人の復元模型
中:港川人の従来の復元図
右:国立科学博物館による新しい復元図
沖縄科学の最前線2010「港川人の由来を探るー下顎骨再検討の成果ー」のフロア講演から転載
私と息子は、興南高校の春夏連覇の優勝旗に群がる人達をかき分け、お目当ての沖縄科学の最前線2010(主催:琉球大学亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構)の展示会場に向かった。
沖縄県立博物館・美術館の専門員藤田祐樹さんから、フロア講演の前に「港川人由来を探るー下顎骨再検討の成果ー」についての説明を聞くことができた。
「驚いたでしょう、港川人の顔が変わって」。
藤田さんと国立科学博物館の海部陽介さん、河野礼子さんは、港川人頭骨をCTスキャンし、コンピューター上で修正した。さらに三次元プリンターで下顎骨の模型を作り、再検討を行った。
下顎骨の比較から、港川人と本土縄文人は違いが多く、港川人は本土縄文人の祖先ではない可能性がある。港川人の下顎骨の特徴は、現代のオーストラロ・メラネシアン(オーストラリア先住民やニューギニア集団)に似ていることから、港川人はオーストラロ・メラネシアンと同じ祖先を持つ可能性がある。
藤田さんは言う、「この研究結果には弱点がある。 ①港川人と本土縄文人の顎の骨だけで、比較している。 ②港川人と本土の縄文人との比較であり、港川人と沖縄の縄文人との比較ではない」。
今後の研究で、港川人と本土縄文人の比較が,顎の骨以外の部位で行われることを期待している。
状態の良い沖縄の古い縄文人骨が十分見つかれば、港川人と沖縄の古い縄文人との比較が行われ、その結果は、港川人が沖縄の縄文人につながったのか、つながらなかったのかを明らかにしてくれるだろう。
追 伸
教科書に載るような発見の相次ぐサキタリ洞のこと、どのぐらいご存知ですか。
国内最古の「石器と人骨のセット」出土 2011年
世界最古の「釣り針」出土 2012年
国内最古の「貝器」出土 2014年
国内最古の「埋葬人骨」出土 2014年
2018年ハイサイ人類学が、本「サキタリ洞とその隣人たちー港川人はサキタリ洞に来たのかー」になりました。
(「港川人な顔が変わった2」は、p41に収録しています。)
サキタリ洞に関心のある方は、ぜひお読みください。
最後までお読みの方は、もれなく、「日本最古の顔」にご対面いただけます。
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Posted by クワガタ at 05:45│Comments(0)
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