2011年07月10日
先史・原始時代の琉球列島~ヒトと景観~
拍手の大きさでは、伊藤説が勝っていた。
平成20年12月13日(土)沖縄県立埋蔵文化財センターで開催された「シンポジウム琉球縄文時代の謎」でのこと。会場は、補助席でも足りず、立ち見の人の熱気が前席まで伝わってきた。
琉球列島にヒトが適応した時期について、札幌大学の高宮広土さんの説は、縄文時代早・前期に一度、植民に失敗したが、縄文時代後期頃に移住し適応したとする「縄文時代後期適応説」。
國學院大学の伊藤慎二さんの説は、縄文時代早・前期から適応したとする「縄文時代早・前期適応説」。
二つの説の違いは、沖縄の縄文時代の初めの3~4千年の間、植民の失敗により人口が途絶えたとする説に対し、人口の断絶はなく、継続して維持されたとする説である。
これまでの定説に疑問を投げかけた上記シンポジウムの内容をまとめたのが「先史・原始時代の琉球列島~ヒトと景観~」(高宮広土・伊藤慎二 編 六一書房)」。
やはり、先史時代の沖縄はパラダイスではなかったのか、港川人絶滅説に関心がある方にも必読書。
